砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 次の瞬間。


 毬は龍星の屋敷の玄関にいた。
 隣には手を繋いだままの龍星がいる。

「夢の世界、みたいだわ」

 今起きたことを受け入れがたい毬は目を丸くする。

「あの世界はこちらの世界の何処とも繋がっている。だから、わざわざ東河の畔に戻る必要はない」

「不思議ね」

 毬は狐に摘まれた顔だ。


「そう。
 不思議は不思議なまま置いておいた方が良いこともあるよ。
 もうじき、雅之が酒を持ってくる」

「それも不思議なの?」

「いや。御台様からの依頼とはいえ、毬を御所に連れていってしまったお詫びに、きっと来ると思うよ。雅之なら」

「そんな。
 雅之は悪くないのに」

 首を傾げる毬に龍星が微笑む。


「そう伝えるといい。雅之も安心する」