砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「私、ただ、男の子に憧れていただけで。
 雅之みたいに努力もしないし、お姉様みたいに全てを受け容れたりもしないし、帝みたいに決められた世界の中で何かを極めようともしないし、龍みたいに特別な力があるわけでもなくて」

 毬は一息ついて、さらに続ける。


「無力よね」


「皆、毬に救われている。俺に出来ないことを毬はちゃんとやってるよ」

 思いがけない言葉に毬は顔を上げた。

 真っ直ぐで誠実な瞳がそこにあった。


「それに、毬は今言った人の中で一番若い。
 今から捜せばいい」

「今から?」

「そう。これからやればいい。
 焦ることないよ」