「そんなことより、毬は龍星殿に聞きたいことがあるんじゃなくて?」

 千は話題を変えてみる。
 
 ……聞きたいこと?

 毬は動揺を抱えたまま、頭を巡らせた。

「八つの尻尾を持つキツネ、ご存知ですか?」


「毬、それは何のお話?」

 てっきり、恋の話が始まると思い込んでいた千は当てが外れたがっかり感を隠さずに問う。

「何のお話ですか?」

 龍星も問う。

「今日、キツネ……」

 そこまで言って、毬は雅之の言葉を思い出した。