砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 雅之を見送った龍星は、再びいつもの場所へ戻り中庭を眺めていた。



「……龍」

 自分を呼ぶ愛らしい声に目を覚ます。

 いつの間にか眠りに落ちていたらしい。
 手を叩いて火を灯す。

 目の前には心配そうに龍星をみつめる毬がいた。

「こんなところで寝たら風邪引くわ」

「毬はもう大丈夫?」

 龍星の問いかけに毬はこくりと頷いた。
 未だ昼と同じ少年の格好をして。


 龍星は身体を起こす。

「毬にはお姫様の格好の方がずっと似合うのに」

 龍星が解けた毬の髪を撫でながら言う。

「だって!馬に乗りたかったんだもの」

「それだけ?」

 龍星が毬の瞳を覗き込む。
 夜闇を閉じ込めたような漆黒の瞳に見つめられ、毬は思わず視線を反らした。