砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 それから、少し離れたところにいる龍星に視線を向ける。

「龍」

 涙で濡れた、甘い声でその名を呼ぶ。
 呼ばれた龍星はその瞳に切なさと優しさを宿して毬を見た。

「太一は、もう、淋しくないかな。
 家に戻れないって泣いてない?」

 話している途中で耐え切れず涙が零れる。

「……って、だって。
 太一は人でなかったのかもしれないけど、確かに僕の手を掴んだ。
 本当にここに居たんだよ。
 それで、独りぼっちで泣いてたんだ。
 僕と、大人になっても友達でいるって、そう言ったんだ」

 太一を思い出すと、自然言葉遣いも男の子になってしまう。
 毬は自分の手を見た。確かに繋いだ、その手を。