翁が、姫が落ち着くまでどうぞと言ってくれたので、三人はもう一度小屋の中へと入った。
翁は馬を落ち着かせるため、お茶を準備するとすぐに外へ出て行った。
毬はもう泣いてはいなかったが、心の整理がつかないらしく龍星のほうを見ずに、膝を抱えてしょんぼりと俯いていた。
「毬、折角のお茶が冷めるよ」
雅之が重い口を開いた。
「うん……ありがとう」
毬は手を伸ばして湯飲みを受け取った。
それでも口はつけずに、ぼうと宙を見つめるばかりだ。
「俺には何も見えなかったから分からないんだけど。
気持ちの整理がつくなら聞かせて」
ぽつりと言った雅之の言葉に毬は息を呑む。
「見えなかった……って、太一のことが?」
「太一?」
「うん。男の子でね、私の友達になってくれたの。
大きくなったら龍と雅之みたいに一緒にお酒酌み交わすって約束したのに」
翁は馬を落ち着かせるため、お茶を準備するとすぐに外へ出て行った。
毬はもう泣いてはいなかったが、心の整理がつかないらしく龍星のほうを見ずに、膝を抱えてしょんぼりと俯いていた。
「毬、折角のお茶が冷めるよ」
雅之が重い口を開いた。
「うん……ありがとう」
毬は手を伸ばして湯飲みを受け取った。
それでも口はつけずに、ぼうと宙を見つめるばかりだ。
「俺には何も見えなかったから分からないんだけど。
気持ちの整理がつくなら聞かせて」
ぽつりと言った雅之の言葉に毬は息を呑む。
「見えなかった……って、太一のことが?」
「太一?」
「うん。男の子でね、私の友達になってくれたの。
大きくなったら龍と雅之みたいに一緒にお酒酌み交わすって約束したのに」


