砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毛艶の良い馬が、冷たくなって倒れている。
 霊気に当たっていることは、一目で分かった。

 龍星は手をかざして呪を唱える。

 不自然に空気が揺れた後、馬がゆっくりと瞳を開いた。

「翁、後はお任せします」

 言い捨てるように言うと、龍星は足早に馬舎に併設してある小屋に向かった。

 毬は相変わらず少年のような着物を纏い、横たわっている。
 血の気の引いた唇、硬く閉じられた瞳。

 雅之はどうすることも出来ず、心配そうに彼女を見守っている。

「医師の所見では、怪我はないとのことだ」

 龍星を見て、そう告げた。