砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「そう、あの子の名前。
 オラと遊んでくれるって言ったんだ。
 迷子になって泣いてたら、手を差し伸べてくれたんだ」

 ……自分が放してしまったあの手を。

 龍星は不覚にも胸の奥がちくりと痛んだ。

「だから一緒に遊んだのに。
 なんで、こんな」

 少年の瞳から涙が溢れる。

 ……死んでいる自覚がないのだろうか。

 龍星はため息を飲み込んで、馬舎の中へと急いだ。


 その背中に、少年の泣きじゃくる声が飛ぶ。


「真竜は良い奴なんだよぉ。
 一緒に大きくなって、二人で酒を酌み交わせるような親友になるって、約束したんだっ」


 龍星は知らず、唇を噛み締めていた。