砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 馬舎についた三人はすばやく馬から降りる。

「龍星、こちら……」

 雅之は言いかけて、言葉を止めた。
 何も無い空間を、龍星が睨みつけていたからだ。

「後で行く」

 翁と雅之を先に行かせ、龍星はそこに見えるものに声を掛けた。

「ここで何を?」

 それは、いつぞや女の部屋から追い出した少年だった。
 酷く震えた顔で、そいつは言った。

「真竜が、急に倒れたから。
 心配で。
 
 折角一緒に遊んでたのに」

「まりゅう?」

 龍星は訝しむが、少年は嘘をついている様子は無い。
 毬がそう名乗ったのだろうと受け取った。