今日は金曜日、藤堂くんの自宅訪問前々日。
私は昨日のヨクの反応を思い出した。
「えっ?!えっ?!!え~~~っ?!?!男子の家?!」
「…はい。なんか流れでなっちゃって……ヨクのこと隠す為に彼氏いないって言ったら『じゃあ来いよ』って………」
はぁーっと長いため息をついたあと、ヨクは顔をあげた。
「みかみの友達だから俺は全然関わることじゃないけど、ただ、俺が耐えらんなそう……あーっ」
「やっ、藤堂くん全然そんなんじゃないし、妹さんに会いに行くだけだし、それに藤堂くん好きな人いるし!!」
私はヨクの心配をこれ以上膨らませないために必死だった。
「藤堂くんってこの前俺も見た人だよな……その好きな人がみかみって可能性もあるし……」
ヨクはなにか最悪の状況でも想像しているのか、顔を両手で覆った。
「いや、それはないでしょ」
「みかみは自分の可愛さに気づいてないから一番危険なんだよーっ」
………とまぁこんなやりとりをおよそ三十分くらい続けた後、ヨクの情緒不安定は正常に戻った。
その中で私たちはいくつかの決め事をした。
①ヨクは絶対に姿を現さないこと。
②藤堂くんともしものことがありそうだったらみかみは逃げること。
③妹抜きの二人きりにはならないこと。
その決め事を今思い出して、私はクスリと笑った。


