————時は20分前にさかのぼる。
ホームで腕をなおも掴まれたまま、私はこう言われた。
「ちょっと今から時間ある?」
「へ?」
「花園と………話がしたい」
唐突すぎて返事ができなかった。
私がぽかぁんとしていることに気がつくと、藤堂くんは慌ててこう付け足した。
「あっ、や、変な意味じゃなくて、その、ちょっとちゃんと言っとかなきゃいけないと思うことあって」
「……はぁ…まぁ、時間ならあるけど」
そういう過程を経て、私たちは二人で話をすることになった。
オプションのたい焼きは、二人ともハードなバレーの練習で空腹だったからついでに購入したものだ。
あまり気にしないでほしい。


