「よかった、お母さん無事だったんだね」
クラスのいつめんはほっと胸を撫で下ろしたようだった。
「心配かけてごめんね」
私は細く笑った。
昨日突然三時間目で早退したから、絶対みんな気にしていると思った。
けれどいつめんは私の母の体が弱いことを知っているから、下手に向こうからは聞き辛いだろうと思いあえて私からから昨日の出来事を告げた。
「そうだ、お母さんには彼氏できたこと伝えたの?」
この暗い話題を変えようとしたのか、むしろ私が今一番触れたくない話題を友達は提示した。
「えっ…それ何情報?」
私が少し怪訝な態度を取ったから、友達は私が気を悪くしたと思ったのだろう、慌てて両手を顔の前で振った。
「ばっ、バレー部がみかみに彼氏できたっていうからさぁ…」
はーーーっ、あいつらめ!
「あのね、その情報全くの嘘だから!女バレが勝手に騒いでるだけなの」
女バレの仲間につくづく呆れながらも私は誤解だということを伝えた。
ヨクなんて、もう彼氏でもなんでもないんだから!!
私は真っ黒なままのディスプレイを眺めた。


