―――――あと2分で10時。
そわそわしながら腕時計を見る。
本当に現実の彼氏を待つように改札前の時計台に私は寄り掛かっていた。
「お待たせ~」
はっと振り向くと、隣のお姉さんが彼氏らしき人と合流していた。
周りを見渡すとそこはカップルだらけであった。
徐々に時計台から人が消えていく。
――――…10時まであと1分。
向かい側にあるスイーツカフェの窓ガラスに映った私を見た。
き、今日のファッションおかしく無いよね?
朝一時間かけて選んだコーデ。
悩んだ挙げ句デートにはやっぱり白ワンピだと思いこれにした。
ヨクが現れるまであと1分ないと思うと異様にドキドキした。
なっ、なんで私こんなに気合い入ってんのよ!
必死に窓ガラスでチェックする私に我に返った。
今までこんなにデートで緊張してたっけ。
そう思ったとき。
「おはよっ」
胸元から爽やかな声が聞こえた。


