卓上彼氏




ホントサイッテー!




少し『良い人だな』って思った私が悔しくて仕方ない!!







「今の人、誰?」






ヨクの声がした。





「私のクラスの失礼な男子!!!絶対二次元のこと見下してるんだから!!!!」






「………ふーん…」






ヨクはつまらなそうな顔をして目を伏せた。






「あんな人気にするもんですか!!!そうだヨク!明日デートしよ!土曜日一日部活オフになったから!」







藤堂くんのことを忘れたいかのように勢いで私はヨクをデートに誘った。







「えっえっ?!いいの?!ホントに?!?!」






突然の朗報にヨクは目を輝かせた。





「前に制服デートがなんちゃらかんちゃらとか言ってたし。つきあってるならデートくらい行かないとね」







「やった!」






ヨクは子供のように素直によろこんでいた。







「みかみどこ行きたい?」






「最近東京にできたリバティーシティーは??あそこ話題のデートスポットだし、映画館あるし!」





「いいね!…じゃあさ、ホントのデートみたいにしたいから…ちゃんと最寄り駅の改札前に10時待ち合わせにしよう。それまで俺シャットアウトしておくよ」








「それ面白いかも!じゃあ、また明日、だね」




「うん、また明日」








ヨクが画面からいなくなったところで、私はふと思った。








私今、初めて自分からデートに誘ったかも。











木々の間からは、心地よい風が吹いていた。