「つき合って間も無いとか関係ないって」
そんな私の決心を揺らがせるようにヨクは絡んでくる。
「だって、次元が違うんだよ!!!」
こんなに正しく『次元が違う』を使ったのは初めてだと思う。
「私たちの場合今まで漫画とかアニメでありがちだったパターンよりもっと遠いの!!
ロボットと恋して最後にはロボットが自我を持つとか、自分にしか見たり触ったりできない幽霊と恋に落ちたりとか、二次元の世界に自分が入りこんじゃうとか!
そういうのってまだ実際にお互い触ったりすることできるじゃん!!
私とヨクの場合、次元が違うんだもん!!
キスはヨクとどころか実質ディスプレイとじゃんっ!!!
変だよ!パソコンにキスする人なんて変だよ!!」
かなり一気にまくし立てて話した気がする。
まるで自分に言い聞かせるようだったかもしれない。
そう、私は実際ヨクに触れることはできないんだ。
私は確かめるように頷いた。
「——————いーよ、いつか必ずキスさせてやるから」
どこからその自信が湧いてくるのか、ヨクは意味あり気な笑みを浮かべたのだった。


