「ごめんごめん、キャンセルの電話だった」
私はいかにもな感じで携帯を握りしめて藤堂くんの元へ戻った。
「え?キャンセルって?」
「私、クリスマス独りで暇だから美容院予約入れてたの。でもちょっと担当さんの都合で他の日になっちゃって……その電話。だからクリスマス空いたよ!」
「まじか!…良かった!」
藤堂くんは素直に眩しいくらいの笑顔を見せた。
その輝きが窓からの光と同調してクラッとしそうになった。
「じゃー、25日のクリスマス、11時雨宮通りの時計台前集合な!ふれあいタワーがクリスマス限定のイルミネーション19時からやるんだってさ」
ふれあいタワーとは、私達の地元の有名な建物である。
若干の観光場所になっていたりもする。
いつも夜になるとライトアップされるのだが、イベントの日などはそれに見合った柄に変わったりするのだ。
「ゆりの予定は大丈夫なの?クリスマスともなるとヲタ系のイベントとも被るんじゃない?」
私はその場を去りゆく藤堂くんに声をかけた。
「何でゆりが出てくんだよ。───────……花園と俺の二人で行くの!言わせんな!」
藤堂くんは思いっきり恥ずかしそうな顔をすると、その場を走り去っていった。
えっ、
えっ、
えっ?
……………二人で?クリスマスに??
私はその場に残されて独り、ぽかぁんとしていた。
神様………これって世に言う、デートですか。


