そのあと私たちは街中の大通りをウィンドウショッピングして歩き、スイーツを食べ歩きしたりサーカス団の無料イベントを立ち見したりした。
お父さんと一緒に誕生日を過ごせなかった悲しみをすっかり忘れるくらい笑って、感動して、そして、ヨクへの愛しさを感じた。
予定していた高級フレンチを夕飯にいただいた後、ヨクはそのフランス料理屋さんの前でしばらく待つように私に言った。
なんでも、『連れていきたい』場所があるらしい。
しばらくすると、一台のタクシーが目の前に停車した。
後部座席のドアが自動でカパッと開く。
「えっ?」
「乗って」
私が心配そうにヨクを見ると、ヨクはそう言った。


