「さっきのレストランで二千円以上使ったから、みかみ並べるんだよ」
ヨクは私を列に並ぶように促した。
「わ、わかった」
この抽選会参加もデートコースの一つなんだと思い、私は余計な質問はせずに並んだ。
その間私たちはたわいもない話をして過ごした。
今まで付き合った彼氏は、私に嫌われないように、と必死になって待ち時間なんかにたくさん話しかけてきたけれど、ヨクはそんなことしない。
いつだって私のペースに合わせて、私の気分に合わせて。
本人は合わせているつもりは無いのかも知れないけれど、少なくとも私はものすごく過ごしやすかった。
そんなこんなしていたら、抽選の順番がやってきた。


