「……こうやって、水槽の中から出られない。私も、この魚に触ることはできない。たった一枚のガラスを挟んで、二人は永遠に触れ合うことができないの。………これってまるで私たちみたいじゃない?」 私はその黒い魚を見つめたままヨクに話しかけた。 「————違う」 「え?」 「少し違うよ」 ヨクは切なそうに笑った。 「この魚とみかみは、水槽を壊せば会える。でも俺とみかみはディスプレイ壊したって会えないんだ」