「みぃちゃんにご馳走できると思ったら作りすぎちゃってぇ~。食べきれなかったら残していいからね」
下に降りると、ゆりがダイニングテーブルにこんもりと皿に盛られたカルボナーラを並べていた。
「さ、座って座って」
「う、うん」
私は流されるままに着席した。
私の向かい側にゆりも着席する。
「ほら!一馬もぼーっと突っ立ってないで座ってよ」
「…おぅ」
藤堂くんは心ここにあらずのような声で返事をした。
カチャカチャ。
そのまま私たちは無言でカルボナーラを食べ始めた。
「ちょっとちょっと二人ともどうしちゃったのよ~っ!なんかギクシャクしてない?」
私たちの明らかに不自然な態度を見てゆりはフォークを置いた。
「別に」
藤堂くんはそう短く答えて食べ続けた。
「…ケンカでもした?」
「…ううん何も……心配しなくて大丈夫だよ、食べよ食べよ!」
さっきの藤堂くんの表情が頭に浮かびそうになって危なかった。
パスタを食べることだけに集中しようと私は考えた。
と、その時。


