「―――いったぁ~……」
おでこに手を伸ばしながら目を開けると、目の前にはかなりの近さで藤堂くんの顔があった。
あと少しで鼻と鼻がくっつきそうだ。
「………」
「………」
見つめあった状態で、私たちは動かなかった。
私の上に藤堂くんが覆い被さるような体勢になっている。
―――――ちょっとちょっとどういうことこれ?!?!
ど、どうしたらいいの?!
心臓がバクバクして、頭が真っ白になりそうになった。
藤堂くんの息遣いが、たくましい腕が、首筋が、いつもよりずっと近くにある。
「藤堂く……」
理性を失わないようにして必死で声を絞りだした。
「一馬、だろ」
藤堂くんは真剣な目で私を見つめたまま囁くような声で言った。
こんな色っぽい藤堂くんの表情を見たのなんて初めて、どうしよう、動けない――――…!


