「…………え…と……」
『行くな』なんて強く言われたから、私は硬直してしまった。
「…………や……ごめん、なんだ俺…………花園行きたいなら行っていーよ」
藤堂くんは困ったように前髪をくしゃくしゃして言った。
「…ううん、なんかゆり料理上手そうだから私なんかが邪魔するのも悪いし、やっぱりここにいる」
二人の間に変な空気が流れないよう、あえて明るく振る舞ってみせた。
ストン、と私はカーペットの敷かれた床に座り込む。
藤堂くんの座っているベッドに背中を預けた。
「…………………」
「…………………」
「……なんか言ってよ」
「何をだよ」
「いつものクラスにいるときみたいに話してよ、調子狂うし」
「……俺だって調子狂うよ!…なんかよくわかんねーけど………異常に緊張するっていうか…」
「………」
「………」


