なんだって? 待って、待って。 え? 「おい。固まってるぞ」 「え?」 「嘘だよ。酔っ払いなんか襲うかよ」 近かった顔を離し、今度は手を差し伸べてくれる。 でも私は自分の手を差し出さなかった。 「…嘘なの?」 「何?」 私の絞り出した小さな声はどうやら聞こえなかったみたいで、彼は私に耳を近付けた。 嘘って何よ! 一瞬喜んじゃったじゃない! 「バカ!!」 「うるさっ!」 私は悔しくて彼の耳元で大きな声を出してやった。 ざまーみろ!