「大丈夫か?」
先生に支えられながらも隅っこにあるテントの椅子に腰かけた。
綱引きやりすぎたかなぁ。
いや、そんな事はないはず。
だって…っ。
「なんか悩みか?俺でよければ聞くけど」
ドクッ
今気にしてた話を言われた。
松田先生はいい匂いがした。
宮本先生もいい匂いするけど、また違う匂い。
新鮮な匂いに、少し胸が高鳴る。
「…先生は、生徒に告白されたらどうする?」
ギョッとされる覚悟で言ったのに、先生は真剣に質問の答えを探していた。
「んー、そうだなぁ、ごめんって言うな、俺なら。」
ごめん。
つまり、好きじゃない、付き合えない。
当たり前な返事だよ……。
分かり切っていた言葉を放たれると、心にとげが刺さる。
「何で?理由は?」
「だって、生徒だろ。」
これは、先生として普通な返事をしているのだろうか。
「俺らは先生。生徒をどれだけ平等に見るかが求められる仕事だろう?だからさ、生徒を好きになんかなるはずないよ俺は。」
……うん、先生の言ってる事は分かる。
『でも、でも、』って言い訳を探す自分も居る。

