そんなの、痛いほどよく分かってる。
だけど、他人に甘えたい気持ちは消えなかった。
「ね、平瀬くん。速く走るコツ教えて!」
あたしは残念ながら、あまり運動神経は良くないのだ。
「特に無いけど…。地面を蹴る感じかな。」
特に無い!?それ才能なの!?
神様は不平等だよ。
「足速いなんてずるいー」
……あれ?
反応がない?
「ぐすん」
平瀬くんは、泣いて帰ってきた花を心配そうに見ていた。
「え、佐山…。え…。」
あたしと花を交互に見て、不安そうだった。
「花?どうしたの!」
平瀬くんは空気を読んで、二人きりにしてくれた。
そういうとこも、素敵だね。
「花?平瀬くん行ったよ。話して。」
花はタオルで顔をおさえ、泣いている。
「…先生ね、先生ばっかり悪者じゃなかった。」
どういうこと?
花はゆっくりと顔を上げ、あたしの目をまっすぐ見た。
花の目はパンパンに腫れていて、これじゃああたしたちは外から見たら泣き虫シスターズになりそうだ。
「詳しくは言えないけど、とりあえず謝った方がいいと思う・・・」

