あたしはもう、光を失ったのかもしれないな………。
「オイラ綱引き一番前だから見ててね〜!」
聞きたくないのに無意識に耳を澄ましてる会話。
美依瑠はぴょんぴょんと跳ねている。
美依瑠はきっと…、先生に恋に落ちた。
先生も多分、あたしみたいな生徒より美依瑠みたいな子の方が可愛いと思うよね。
美依瑠は意地悪なとこもあるけど、美人で運動神経よくていつも元気で素直で………頭も良い。
あたしは何をしても適わない。
そんな、遠い存在なんだ。
「おぉ、綱引きだったらオイラ一人で勝てるだろ」
「さすがのオイラでも無理っしょ〜」
ははは、って2人の笑い声が嫌に響く。
「…ん、朋!絶対勝つから〜」
遠くから様子を見てただけなのに。
最大限に存在感消してたのに。
見つかってしまったあたしは、無視するわけにいかず、近づいて一緒に話すこともできず、ただ笑顔を作った。

