平瀬くんは確かに良い人だよ。
けどあたしを癒してくれそうな、そんな人たちはいくらでも、どこにでもいるんだ。
でも、あたしの好きな人はたった1人。
先生だけなんだ。
叶わなくても、あたしはただ好きな人を追いかける。
「花、大丈夫だよ、あたしは。そんなに気が変わるの早くないしね!一途ガールだからさっ!」
わざと明るく言って見せた。
花は、心から安心したようで、あたしの肩をポンと叩いた。
それから入場門へ向かった。
門には、いろんな先生が居て…。
その中にはやっぱり宮本先生が居て。
ごくごく普通で、当たり前のことなんだけど、やっぱり先生を見た瞬間に心に切り傷が1つ入った。
このままだったら、あたしの心はズタズタに切り刻まれるだろう。
「宮本先生ぇ〜」
…っ。
先生の名前を聞くだけで辛くて。
「お、なんだ」
声を聞くともっと辛くて。

