「ひゃあー、それにしてもひどい顔!あはは」
花が、鏡を見たあたしに一言。
この一言はかなりのダメージだった。
「泣いた後擦るからだよー!」
そうなんだ…。
顔洗っても治らないんだろな……。
どうしよ…。
すると廊下から声変わりを終えただろう男子の低い声が響いた。
あたしはどうでもいいやーって気にせずトイレを出たけど、歩いてきた男子を見て少しドキッとした。
「平瀬くん・・・!」
そう。
平瀬くんは、仲の良い陸上部の男子と歩いていた。
あたしが不意に名前を呼ぶと、真顔でこちらをみた。
目はあっているのにお互い何も言わず、ただ至近距離で見つめ合っている。
「…」
花は手足をバタつかせ、何この関係!?って騒いでいる。
「なに」
やっとの事で口を開いたのは平瀬くんの方だった。
「俺、なんか変?」

