泣きそう。
そう思ったのは遅くて、もうすでに涙は目から流れて頬を伝い、あごで一瞬止まり……地面に落ちた。
「…っ」
あれ?
泣くつもりなんか無かったのに。
周りの見学者がざわつき始める。
「ちょ、とりあえずこっちきて!」
あたしは先生に手首を引かれ、グラウンドから離れて校舎に入った。
…どこ行くのよ。
「保健室で、いい?」
保健室!?
聞いた瞬間あたしは立ち止まり、前に進もうとする先生の手を逆に引っ張った。
だって……、保健室にはかなちゃんがいるから…。
「いやっ」
「嫌って、なんで?」
先生は困った顔をした。

