「たんこぶより、叶恵先生の事が・・・。」
気になりすぎて授業聞ける気がしないから、あたしは素直に聞いた。
「あぁ、あいつ?ここだけの話だけど・・・あいつは俺の元カノ。」
……元カノ?
「もともと高校同じでな、大学も同じでそれから付き合ったんだ。」
先生は遠い目をしている。
「どっちが告ったの?」
「あっち。バスケ上手いとこが好きなんだとさ。」
「どうして別れたの?」
「大学に入って、三回生になると就活とか授業とかで忙しくなるんだ。それでバラバラですれ違うようになったから」
そっかぁ。
そうだよね。
「先生は、別れて良かったと思う?」
あたしは歩くのをやめた。
「まぁ、当時はやっぱり辛かったよ。でも今振り返ると、別れたから教師になれたって思う。」
そう言いながらも、あたしに合わせて足を止める先生。
「別れなかったら、教師になれなかった・・・?」
ドキドキというより、バクバクしてる。
別れなかったら、あたしと出会わなかった?
叶恵さん可愛いけど、優しいけど、別れてくれてありがとう。
先生の夢を最前線にしてくれてありがとう。
「…うん。多分な!てかお前そんなに食いつくなよー。もう三年前の話なんだから。誰にも言うなよ?」
「うん、言わない。」

