先生はそう言うと、カバンから手紙を取り出した。
「これがその手紙」
「中、見ても良い?」
先生の許可を得てから、封筒の中から便箋を取り出した。
すごくきれいな、すっとした字で書いてある。
中学生らしい丸字ではなく、美文字というやつ。
完璧すぎて困る。
【山本素晴】
そう書かれた字は、とてつもなく、たくましかった。
山本さんは、どんな気持ちでこの手紙を書いたんだろう。
「あ・・・・・・っ」
ここ、ほら。
「少しだけへこんでる・・・?」
そう。
山本さんは、素晴ちゃんは、泣いてたんだ。
彼女は書きながら涙を流し、そしてそれは便箋に落ちた。
紙は濡れて乾いた後、少しへこむ。
そのあとがくっきり残されていた。

