「あのね、先生。耳貸して」
「んー?」
俺は何も考えずに耳を貸した。
「好きだよ」
!?
「・・・」
俺の耳から離れる山本。
「ごめんね、先生。そんな顔すると思ったよ・・・あはは」
何で笑ってる?
「それでね、手紙書いてきたから、読んで。じゃあ」
両手で手紙を渡すと、すぐに背を向けて帰って行った。
何を言えばわからなかったから、俺は引き留めなかった。
先生方に誤解されないように手紙を隠して、鞄につっこみ、やり残した仕事がないか確認してから学校を出た。
その日の部活は外コートの日で、さらに雨だったし、選手を休ませるためにオフにした。

