まぁ、そりゃあ知ってるよね。
学年の理科の先生なんだし。
「あの子も、先生のことが好きみたい。いつもあたしがいた先生の隣。あの子にとられちゃった。ただ、それだけだよ。」
・・・自分で言ってて泣きそうになってきた。
あたしと先生の間に隙間があったから、山本さんは割り込めたんだ。
だけど山本さんと先生の間にはわずかにも隙間などない。
山本さんは、手強い。
「そうか…。お前さ、ほんとにあの人しか見えないんだな。てか、あの人のこと好きすぎだろ。もうそこまでいったらバカだよ?」
「は!?バカじゃないし!何よ!あたしのこと何も知らないくせに!」
あたしは堅く拳に力が入る。
「俺なんかがお前の気持ちなんて分かってやれないかもしれない。でも俺はお前のこと見てたつもりなんだぞ・・・。理科の授業中も、HRも。部活の時でさえも、ぼーっとしてただろ。」
えっ・・・。
「佐山たちが話かけても、いつもうんで終わらせてたりしてさ。」
松田先生・・・?
「普通が人より何倍も元気なんだから、元気なかったら分かるんだよ。ずっと気にしてたんだぞ」
「せんせ・・・?」
いつも見ててくれたの?
先生。
ヴーヴー
先生のケータイが先生のポケットから鳴りだす。
先生は、慣れた手つきで画面をタッチした。
「お、病院着いたってよ」

