「おー、今からバレーか?」
先生がボールを指差して山本さんに問いかける。
山本さんは明るく、そして嬉しそうに言った。
「バスケだよ。あっ、先生もやる?五人だから人数半端なんだぁ」
「やるやる!俺でよかったら!」
その誘いを一瞬で乗る先生。
外で遊ぶんだぁ。
じゃああたしは教室に戻ろうかな。
先生にバイバイって言おうとしたら、山本さんと目があった。
「えっと、薪下さん。バスケ部だよね?一緒にやる?」
気まずそうに、来てほしくなさそうに言う。
だけどどこか優しい声だった。
先生の前だからかな。
山本さんは誘ってくれたけど、他の連れの子は、お互い目配せをして嫌そうな顔をした。
あたしは、気を遣われるのも、遣うのも嫌い。
一目散にこの苦しい雰囲気を出たかった。
「いや・・・いい、です…。あたし入ったら奇数になるし…」
「そっか!じゃあ行こう!先生早く靴履き替えてきてね!」
「オッケー!」
先生は、行ってしまうんだね。

