かなちゃんは、はぁはぁと息を切らしている。
「松田、先生に聞いたのっ。腰っ、い、痛むん、だよね・・・」
20代なのに走ると息切れるんだぁ。
年って怖いな・・・。
「もう、大丈夫だよ。落ち着いたし」
心も・・・ね。
かなちゃんは胸をなで下ろして、あたしの頭をなでた。
「良かった・・・」
先生の手と違って、細くて少し柔らかい“コツン”って感じの手だった。
「三國先生、式はもう終わりそうですか?」
「はい。もう校長先生が長く話してますから」
「そうですかか。じゃああと3分ぐらいだな。」
「朋ちゃん、教室戻れる?」
急に話を振られ、あたし驚いた。
「えっ・・・と、大丈夫」
もう、腰は痛くないしね。
かなちゃんは、あたしの頭においていた手を上げ、先生の背中を押した。
「じゃあ、戻りましょう。」

