オイオイ・・・。
冷たすぎだろ・・・。

ふざけんなよっ




バンッ




俺は我慢できずに、コンクリートで出来ているであろう廊下の壁を殴っていた。

痛くも何ともねぇ・・・
壁も本気で殴れないのか俺は?
可哀想なやつだな。




そこへ、陽助が小走りで来た。


「彼方〜!」




陽助は、普段なかなかしない心配そうな顔をしている。




「大丈夫だったか?」

陽助は、そう言いながら俺の固くなっている拳を握り締めた。



気付いてたのか・・・





「おうよ」


力ない俺の返事を聞くと陽助は俺に拳を見せた。



「・・・」


「・・・」



・・・・・・コッ




俺の拳と陽助の拳が重なり合う音は、どんな音よりも素晴らしいと思う。