しかし、俺は何も言わなかった。
それを言った後の百合の微笑みが、悲しいほどに優しかったから・・・・・・。
俺は何も言葉にできなかったんだ。
なんだよこれからはって・・・。
疑問だけが俺の心に残ってく。
これからは、今までと違う生活が待ってるんだなって、分かったから・・・。
聞きたくない。
変わりたくない。
離れたく、ない。
そんなことをひとりでぐちゃぐちゃと考えていたら、ついにチャイムがなった。
キーンコーンカーンコーン
「じゃあね、かなたん。またね」
“またね”・・・、?
「またねって何なんだよ!?」
「ごめんかなたん、また」
百合はそう言うと、俺を控え室から押し出した。
ガラガラ
冷たくドアは閉ざされる。

