なんで最後まで言わねぇかな。
「田浪センセはなんで泣いてんですか」
まずこれを聞かないと、下手な言い訳はできない。
「私が今回の噂を尋ねてみたら、何も言わずに泣き出したんだ。だから君がいてくれて良かったよ」
なんで何も言ってねぇの?
「田浪センセ?俺に告られたこと、言えばいいじゃないっすか!私は優しく断ったんですって言えよ!!なんで付き合ってなんか無いって言わないんだよ!?」
百合はばっと顔を上げて、俺の目をじっと見た。
俺なんかどうだって良いんだよ。
何故、生徒が先生を好きになるのは構わないのに
先生が生徒を好きになったらいけないの?
百合は百合を守ればいいんだよ――――。
「本当ですか、田浪先生」

