「お前らー。挨拶は?」
と、ふくれっ面の宮本彼方(みやもとかなた)先生。
これがあたしの好きな人。
26歳で、男子バスケ部顧問。
担当は保体。
え、ちょっと待ってよっ。
あたしの目の前には先生のどアップ。
「こーんーにーちーわー」
イヤミのように言ってくる先生はどこか可愛かった。
「先生、久しぶりっ!」
あたしはテンションを上げて、手まで上げながら言ったのに、先生は冷たく、半目だった。
「"先生、久しぶり"〜?」
あたしの言った言葉を憎たらし〜く繰り返した先生。
「?」
全く意味の分からないあたしは首をかしげ、先生を見つめた。
すると先生に
『分かんねーの?』っていう目で見つめられた。
考えたけどあたしには全く意味が分からなかった。
あたしからすれば、先生は何がしたいの?って感じ。
30秒ぐらい経ったよね・・・?
動けないまま、30秒。
「先生じゃないですかーお久しぶりでぃす」
後ろからほぼ棒読みの声が聞こえた。
声の主は、30秒間横で突っ立っていた花だ。
「せいかーい!」

