「―――――え?」
今、思った。
「教室誰もいなくね!?」
そういえば次英語で移動教室だった。
ちょ、と言う陽助を無視して、教室を飛び出そうとした。
でも、廊下に右足を出した瞬間、俺の左手首は陽助によって動けなくなった。
「な、逃げんなよ」
俺は陽助に背中を向けたまま静止した。
「悟られてるなら素直になれよ。お前、あいつが好きなんだろ?じゃあ、告れば良いだろ。それも自分でわかってるんじゃねーの?」
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴る。
陽助はそう言うと、俺を追い抜かして英語Aと書いた教室へ入っていった。
俺は追いかけるようにして、陽助が入った教室の一つ奥の教室へ入った。

