「・・・」
俺は黙って拳を陽助の方へ向けた。
コッ…
陽助と俺の拳がぶつかり合う音が俺にはかなり心地良かった。
「なーんだよぅ、友情かぁ〜」
は!?
「百合・・・っ」
そう、百合。
「今の話聞いてねーよな!?」
思わぬ百合の登場で俺はバックバクのパニックだった。
「ん〜、特に会話無かったよね」
ということは会話は聞かれてない・・・?
俺が安心した瞬間…
――「でも、分かって無くはないよ?」
……「は?」
陽助は目をより大きくした。
「あのさ、やっぱ女の勘って嫌でも働くわけよ!」
あははと呑気に笑い、教室を出て行った百合。
「なぁ、あいつマジで分かってると思う?」
いや…、まぁ。うん。
「分かってるんじゃ、ない?」
だって、勝ち誇ったような百合の顔。

