<彼方side>
俺の、一生忘れられない思い出。
今から話す。
俺は中学2年の時、密かに想っている先生がいた。
その名は田浪百合(たなみ ゆり)。
英語担当で隣のクラスの担任でもある彼女とは、当然の事に学校で毎日顔を合わせている。
年は確か、24歳。
ということは俺とは10歳差。
そこまで離れていないと思う。
「田浪・・・、先生。」
「かなたん?どうしたー、いつも百合って呼び捨てのくせに。」
俺の事を『かなたん』と呼ぶ人は、この世界でこの人だけ。
逆に、百合を呼び捨てにする生徒は俺しかいないだろう。
それくらい、俺たちは仲が良かった。
でも、そんな関係に終わりがもうすぐ来るなんて、
俺みたいなガキには知る由もなかった―――――。

