あたしは太ももの上で固く握りしめてた拳を、ゆるめた。
先生の目を見ようと、顔を上げた。
「……っ!!」
先生は、あたしが何も言わなくても全て分かっているんだと思った。
先生はあたしの目を見て微笑んだのだ。
その笑みが、優しくて……。
いつもの先生じゃないような顔つきだった。
あたし…、大丈夫?
どんなに傷ついてもきっと前を向いて頑張れる!今ならそう思える。
「腰、大丈夫か?」
先生は、片手を自分の腰に当ててたずねた。
あたしはゆっくりとうなずいた。
「あ〜、んじゃ、俺ちょっと行ってくるぞ?ここにいてくれ。」
そう言い残した先生は、サッと駆け足でグラウンドの方へ走っていった。
その時、グラウンドで整列している生徒たちがチラチラとあたしの方を見ている事に気付いた。
やば、変な噂流れないかな………?
そう思っていたら、視界の右あたりでこちらに走ってくる人を捉えた。
松田先生かな…そう思い、走ってくる人を視界の真ん中に寄せたとき、あたしの胸は高鳴った。

