拓海はその時、まだ1歳だった。

1歳だというのに、広信さんに言われたことをしっかりと覚えていた。

広信さんは拓海のことが大好きだった。

凄く拓海のことを可愛がってくれた。

拓海も広信さんのことが大好きだ。

今でも…。


この世界には、どんなに色あせても変わらない思いがあるんだ。


翠と拓海を見て、俺は思った。



「ねぇ、ママ!今日のご飯は何?」

「今日は、ハンバーグだよ!」

「やったぁ~!パパ、今日はハンバーグだって!」

「良かったなぁ?拓海!!」

「うん!そうだ!ママ、あのね、ママが病院にお泊りしてるときに、パパがコロッケ作ってくれたんだよ!」

「そうなの?」

「うん!凄く美味しかったんだよ!それで、パパと約束したんだ!ママに食べさせてあげようって!ね?パパ!」

「そうなんだよ!上手く作れてさ!」

「本当?じゃあ、今度…パパが作ったコロッケを食べさせてもらうね!」

「うん!良かったね!パパ!」

「おう!」