自分とともにこの屋敷に移り住んだ三人の男、水城、風間、金田は、先代当主が亡くなる一月ほど前に雇い入れた者たちだった。
朱夏をこの屋敷に移すことが決まったとき、代々阿倍の家に仕えている者たちの中では、渡辺しか同行を願い出た者はいなかった。
先代当主から、朱夏を頼むとそう頭を下げられていた父ですら、難色を示してそれを拒んだ。
渡辺には、そんな父が情けなかった。
ならば、自分ひとりでも朱夏を護ろうと決意した渡辺に、自分も同行したいと申し出てきたのが、新参者のこの三人だった。
亡くなった先代当主に何か言い含められているのかと、渡辺はここに移ってすぐに尋ねてみたが、三人はそうなことはないと首を振るだけだった。

優しく儚い朱夏を護って差し上げたいだけだと、そう答えるだけだった。

三人とも阿倍の家とは古い付き合いの家の当主からの推薦があって、安部の家にやってきた者たちだ。
その素性に、怪しいところはなかった。
怪しいところはなかったが、センと同様に、妙に得体の知れない雰囲気があった。
けれど、朱夏を護って差し上げたいという言葉に違うことなく、彼らは朱夏に尽くしている。
それだけで十分だった。
渡辺にとっては、決して長い付き合いのある者たちでなかったが、今では誰よりも信頼を寄せている者だ。