一本抜き取ると、無造作にそれを口に咥えて火をつけた。
舌にジリリとくる苦味と刺激に、青嵐は目を細めて、立ち上る白煙を目で追った。

初めてこれを吸ったときは、煙管に刻んだ葉を入れて火をつけたものだが、便利になったものだなと、そんなことを考えて思わず苦笑した。


長く生きるのも。
やっかいだな。
いらぬ知恵ばかり。
増えいく。


あるとき下りてきた人里で、会話を交わす者から煙草を勧められた。
それ応じようと懐から煙管を出したら、なんだ、それはと笑われた。
もはや、こんな道具は使わぬ時代なのかと、青嵐は誤魔化すのに一苦労した。

そんなことを思い出しつつ、青嵐はまたセンのことを考えた。


今日。
声を掛けてきたのは……
偶然ではないな。


いつか、自分が生まれ変わった朱花の魂を探し出すことを、あの老人は予見していたのだろう。
その上で、あの青年にあの家を見張らせていたのだとしたら、その目的はなんだろうと青嵐は考えた。


我を。
捕らえることか?


そう考えて、それは違うなとすぐにそれを否定した。