「先のことが見えると。そう言っていた」
実際に何がどう視えるのかは、青嵐には判らなかった。ただ、朱花が視えるのだと、そう言っていた。
「爺さんはその力を、先見(さきみ)って言っていたよ。人はない、その不思議な力を持つ子どもが、時々、生まれてくる家らしい。あの家は。爺さんが生まれる前の時代から、ずっと」
饅頭を咀嚼しながらの言葉に、食うか喋るかどっちかにしろと、青嵐は何度もそう怒鳴りだしたくなったが、それを堪えて聞き取り辛いその言葉に耳を傾け続けた。
センと名乗ったこの青年も、存外に、この展開に戸惑い迷っているらしい。饅頭をやたらと喰うのはその為らしいと、そんな気配を感じたので、青嵐は文句を飲み込んだ。
センはまた、饅頭に手を伸ばしながら、言葉の先を続けていく。
「でもって、あの家では、昔から、その力を持って生まれた子につける名が決まっているんだとさ。女の子ならシュカ、男の子ならシュテン。必ずそう名づけることになっているんだとさ。爺さんが言うには」
センの言葉を黙して聞き入っていた青嵐は、そこまで聞いて、待てとセンの言葉を止めた、
「あの者に朱花という名をつけたは、我ぞ。親が付けた名ではない」
戸惑い交じりの声でセンにそう告げた青嵐は、朱花を拾ったあの日を思い返した。
実際に何がどう視えるのかは、青嵐には判らなかった。ただ、朱花が視えるのだと、そう言っていた。
「爺さんはその力を、先見(さきみ)って言っていたよ。人はない、その不思議な力を持つ子どもが、時々、生まれてくる家らしい。あの家は。爺さんが生まれる前の時代から、ずっと」
饅頭を咀嚼しながらの言葉に、食うか喋るかどっちかにしろと、青嵐は何度もそう怒鳴りだしたくなったが、それを堪えて聞き取り辛いその言葉に耳を傾け続けた。
センと名乗ったこの青年も、存外に、この展開に戸惑い迷っているらしい。饅頭をやたらと喰うのはその為らしいと、そんな気配を感じたので、青嵐は文句を飲み込んだ。
センはまた、饅頭に手を伸ばしながら、言葉の先を続けていく。
「でもって、あの家では、昔から、その力を持って生まれた子につける名が決まっているんだとさ。女の子ならシュカ、男の子ならシュテン。必ずそう名づけることになっているんだとさ。爺さんが言うには」
センの言葉を黙して聞き入っていた青嵐は、そこまで聞いて、待てとセンの言葉を止めた、
「あの者に朱花という名をつけたは、我ぞ。親が付けた名ではない」
戸惑い交じりの声でセンにそう告げた青嵐は、朱花を拾ったあの日を思い返した。


