「2名様ですね。御車、お預かり致します。」 慌てるあたしを余所に、ゆづはテキパキとその人に何かを伝えて、車を降りた。 「承知致しました。」 「よろしく。 ん、杏璃行こ」 『えっ…』 優雅に一礼して、車に乗り込み、建物の向こうへ消えてしまった。 『車は?』 「ん? ああ。あの人がちゃんと駐車場まで停めてきてくれるよ」 サービスの一種、なんてゆづは気楽に言うけど…普通の飲食店にそんなサービスないよ…。 もしかしてここ、物凄く高価で敷居の高いお店なんじゃ……