今日は3時間だけの講義だった俺は、

一人、早く大学を出た。

「・・・あ」


歩道を歩く心音を見かけた。

・・・

あの子は、高校生なんだろうか?

・・・

にしても、こんな時間に

この辺をうろつく時間じゃないよな?


心音もオレに気付いたようだった。


「こんにちは。

今朝はありがとうございました」

深々と頭を下げた心音。

なんて礼儀正しい子なんだ。

今時、珍しいかも。


「いや、たまたま拾っただけだから」


「あの、名前を聞いてもいいですか?」


「あ、えっと、佐藤 正樹です」


オレの名前を聞いてニッコリした、心音。