私も頷き、彼を動かしかけた時、彼が私の手首を掴んだ。 「彰吾くん?ねぇ、離して?」 どこにそんな力が残っているのだろう。 力強く、私の手首を掴む。 「オレは、生きている限り、誰かを、殺してしまう。 千夏以外に、大切な、人、出来たから」 息も切れ切れに言う彼の言葉を、私は否定する。 「殺さないよっ。私が、誰も殺させない。 大切な人が出来たなら、生きて守ってよっ」